飛べない鳥も進化なの

ネタ、エロ耐性の無い方は財務省のHPでもご覧ください。

無限の彼方まで証明する

アデュー。

最近好んで文頭に「アデュー」を使ってたんですが、調べてみると

 

アデューAdieu:

フランス語。「さようなら」の意。

 

結構長いこと、いきなりノッケから「さよなら」キメてました。

 

今回もサイモン=シン著「フェルマーの最終定理」から数学のお話です。

フェルマーの最終定理 (新潮文庫)

フェルマーの最終定理 (新潮文庫)

 

無敵の証明法「数学的帰納法(きのうほう)」です。

 

極めて初歩的な内容です。

数学が苦手な高校生に頑張って読んでもらいたいなぁ....。 でも需要あるのかなぁ...。

 

 

数学の証明は物理や化学とまた違い、論理の領域ですから森羅万象であり永遠不滅であり右往左往であって且つ剛力彩芽です。

数字を使ってシンボル化しているだけですので、宇宙のどこでも、また次元を超えても適用可能です。

ここが数学の面白さじゃないかな。

 

ひとまず最もポピュラーな数学的帰納法の証明の一例を。

高校で習得するレベルを簡単に書きます。

 

1から始まる数(n)の合計は

n(n+1)/2

で表せそうです。

例えば、n=3の時

1+2+3 = 6

ですが、上の式に当てはめても

3x(3+1)/2 = 6

となりますね。

 

余談ですが、ガウスは7歳の時に1から100までの合計を瞬時に計算したそうですが、その時の計算方法が

1+100

2+99

3+98

4+97

........

48+53

49+52

50+51

と100までの数字を半分に折りたたんで合計(同じ101になる)し、その列数(50)を掛けた、というものらしいです。

n=100を先ほどの式に当てはめれば

100x101/2

となり、順番を変えれば

101x(100/2) = 101 x 50

となりますね。

ガウス少年ktkr

 

そこで便宜上この式をSum(n)と呼びましょう。ただの記号です。

書き足すと

Sum(n) = n(n+1)/2

となりますね。

 

「nがどこまで行っても成り立つ」ということを証明すれば、この式は「間違いない」ということになります。

 

そこで、数学的帰納法では

  • n=1の時に成り立つ
  • n=kの場合に成り立つのであれば、n=k+1の時にも成り立つ(kは2以上の自然数)

ことを証明することで「1から始まり、nがどこまで行っても」を示します。kの次の数(k+1)でも成り立つのであれば連続性が示され、永遠にnは増やすことができますもんね。

 

まずはn=1の時に成り立つことを示します。

Sum(1) = 1x(1+1)/2 = 1

1しかないわけですから、その合計ももちろん1で、これは成り立ちました。

 

次に、「n=kの時に成り立つならばn=k+1も成り立つ」を証明します。

 

n=kの時には「成り立つ」と言ってるんですから

Sum(k) = k(k+1)/2

は成り立ってるんですね。

 

k+1までの合計とは、さっきのkの時の合計Sum(k)にk+1を足したものですから

Sum(k+1) = Sum(k) + k+1

となりますね。先ほどのSum(k)の式を代入して

Sum(k+1) = k(k+1)/2 + k+1

としましょう。これを計算してみます。

Sum(k+1) = {k(k+1) + 2k+2}/2 = (k^2 + 3k + 2)/2 = {(k+1)(k+2)}/2

と、ここまで行きますね。

 

ここで表現を変えて

Sum(k+1) = {(k+1)(k+2)}/2 = {(k+1)(k+1+1)}/2

と書きます。

kの時に成り立つ式

Sum(k) = k(k+1)/2

の「k」の部分に「k+1」を置き換えた形になっていますね。

Sum(k) = k(k+1)/2

は「成り立つ」と決めたのですから、同じこの形となった

Sum(k+1) = {(k+1)(k+1+1)}/2

も同じ理由で成り立ちます。

 

これで、「n=1の時に成り立ち、n=kの時に成り立つのであればn=k+1の時にも成り立つ」ということが証明できました。

そこで晴れて

Sum(n) = n(n+1)/2

は「正しい」と言い切れるわけです。

 

 

数学的帰納法の素晴らしさは、終わりのない計算作業(しかも全てを計算することは不可能)を要することなく、ほんの数ステップで無限の彼方まで証明できる点です。

 

サイモン=シンは本書の中で

無限のドミノを、ひとつずつ倒していく作業は困難だが、一つ目のドミノが二つ目を倒すことを証明すれば、このドミノは無限の彼方まで永遠に倒れていく

と書いています。

 

本来の「帰納法」とは、この逆の、数多くのサンプルから予想を導き出す方法で、数学的帰納法とはどちらかと言うと「演繹法(えんえきほう)」に近いものです。

「数学的」と付けない場合はご注意を。

 

 

物事の始まりと、どこでもいいので途中の任意の1点とその直後の1点で証明できたものは、どこまで行っても成り立つ、というのが数学的帰納法

でも数字を使った今回のような証明が大切なんじゃありません。

 いや言い過ぎだけど。

 

 

数学とは高度な計算を「すること」が目的ではありません。

先ほどの

k^2+3k+2 = (k+1)(k+2)

など、計算や公式暗記はスムーズに論理証明を示すだけの「武器」に他なりません。

苦手であればここに時間がかかっても、問題解決の道筋・着想が正しければ本質的な「数学に及第しない」ということにはならないと思います。

 

この数理論理法(数論)は、哲学であり論理学であり、普遍的な真理を導きます。

中高生の皆さん、社会で数学は使わない、なんて嘘ですよ。

 

あなたの「正しい」を求め確証するのも数学ですし、人を納得させる論理展開も数学です。

是非、大局的に数学と向き合って、何とか高校数学を身につけて下さい。

 

最後に真面目に〆ちゃってごめんなさいね。

でも私だってTPOわきまえてますので、やる時はやるんすよ。

 

それでは。

 

 

アデュー(あ、ここか!