飛べない鳥も進化なの

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謎めいた数字

おっすおっす、病み上がりのうららだよjjj。

 
サイモン=シン著「フェルマーの最終定理」から、今回は「素数」。
私たち理系が無駄に崇める教祖ですね。
 
 

誰にも破られない夢の暗号を

 
 
素数とは、「1と自身以外では割り切れない自然数」を指すよね。
1 2 3 5 7 11 13 17.....
本書では現代の暗号化の基本となっている「RSA暗号」について少ないながら言及してる。
 
「作るのは簡単でも解読するのはとてもむずかしいもの」
 
暗号のキモになる「鍵」はこの性質を持たなければ現実的じゃない。
こんな魔法のようなものを2000年近く探し続けた人類が辿り着いたのが、素因数分解
 
たとえば、
8=1x2x2x2
25=1x5x5
36=1x2x2x3x3
134=1x2x67
って感じ。
 
Rivest、Shamir、Adlemanら3人のMIT科学者の頭文字を取ったRSA暗号方式は、この「素因数分解の困難さ」を利用してるのね。
 
素数に素数をかけた数字を暗号の基本軸に使い、その二つの素数から「公開鍵」「秘密鍵」という二つの鍵を生成。
具体的な暗号の使い方は「RSA暗号」でggr。
ggるのめんどくさい人はここ見ろ。
 
 
 
問題は、この素因数分解の手順に公式がない、というところ。
 
例えば基本軸となる数字が「91」であれば、これを生成した素数は「7」と「13」だと「なんとなく」わかる。
 
少ない桁であれば経験やカンである程度の予想が出来るんだけど、これが4096bit、1,000桁の数の場合、スーパーコンピューターで並列処理しても一年ではとても元の二つの素数を見つけることは出来ないだろうね。
計算機片手に挑戦するなら、2から順に片っ端に割り算を試してみる以外に方法がない。
 
もちろん、「2」で割ったあとに「3」で割ってみるハズだけど、次に「4」で割る必要はないよ。
最初の「2」で割れなければどんな偶数でも割れないんだから。
アルゴリズムとしては
  • まず「2」で割る
  • 次に「3」から奇数で順番に割っていく
  • ただし奇数のべき乗(「9」とか「25」とか「27」)は対象外とする
なのかな...。
 
結局、巨大な素因数分解は膨大な計算量の上に成り立っている、という前提(これはまだ証明されていないんだけどね)で、「いずれは解けるけど時間がかかる」という性質を持つことを利用しているんだってさ。
 
こうやってネットを利用している時も、お前らの「ちんこ」とかしょーもないパケットがせっせと暗号化と復号化されるのに素数が使われてるんだよ。
 
 

ライバルに差をつけろ!(つけすぎました

 
 
もう一つ、本書で触れているのが「素数ゼミ」。
素数ばっかり研究するところじゃなくて、蝉の方ね。
 
17年ゼミという蝉がいまして。
学名をMagicicada、別名「素数ゼミ」。
 

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その名の通り、17年周期でしか発生しない蝉だそうですよ。
これには諸説あるらしいんだけど、本書ではライバルとして寄生虫の存在を挙げている。
 
 同じように長いライフサイクルを持つ寄生虫との鉢合わせを防ぐために、この蝉は少しずつライフサイクルを伸ばす進化の道を選んだのかも、と。
 
寄生虫のライフサイクルが3年だとすれば、蝉は3の倍数のライフサイクルは避けたい。
こうして十分長くてどの数の倍数にもなっていない「17」という素数が選ばれたんだろう、って。
 
寄生虫は対抗すべく17年のライフサイクルへの進化の道を模索する中、16年目で272年間(17×16)も蝉と出会うことが出来ない期間を迎えて絶滅したのでは。
そしてこの17年ゼミだけが、17年という昆虫最長のライフサイクルを抱えたまま今に至るのだろう...だってさ。
 
寄生虫の存在を証明出来ない以上、これは推測の域を出ないけど、一つの説として今でも残っているもの。
他にも雑種交配によるライフサイクルの変動を避けた可能性もあるらしいけど。
 
素数そのものには大した意味はないのに、数に単位を与えて現実世界に取り込むとこんなにも不思議なものになる。
 
大昔から数多の数学者を虜にしたこの素数がフェルマーの最終定理にも実は潜んでいたんだけど、その話はまたいつか。
 
 またねー。
 

フェルマーの最終定理 (新潮文庫)

フェルマーの最終定理 (新潮文庫)