トルエルの最適解
サイモン=シン著「フェルマーの最終定理」という本があってですね、私が高校の時に読み理系進路を決心するきっかけになった名著です。
- 作者: サイモンシン,青木薫
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2006/05/30
- メディア: 文庫
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ここに揉め事を解決するために決闘をすることになった3人の人間がいる。
クロ氏の銃の腕前は未熟で1/3の的中率、グレー氏は2/3、シロ氏は3/3と「百発百中」である。
順番に一人が誰かを狙って撃つ方法となったが、公正を期するために最初にクロ氏、次がグレー氏(生きていれば)、次がシロ氏(生きていれば)と順番を決めた。
最後の一人になるまで続けられるこの決闘で、クロ氏はまず誰を狙うべきか?
コンピューターの父、ジョン・フォン・ノイマンが1944年に言及した「ゲーム理論」のごく初歩的な例なんだけど、現代の国家戦略には欠かせない分野にもなってんのね。
それまでの数論は「戦争に何の役も立たない」とされてきたわけで、これは旧来の戦略が「論理学」とは違うベクトルで構築されていた証ではないかとも思うのね。
極力被害を最少に抑え効率よく敵の戦力を削ぐという目的に対して、論理的に采配を振って勝利を収めた人物を軍神として崇めてはいたものの、その思考を系統化してロジックに収斂させなかったということ。
歴史上の名軍師は自然にこのゲーム理論に基づいて戦略を練っていたと思うとwktkしね?
太公望も張良も孔明も竹中半兵衛も直感としてロジックを持っていたんだろうねぇ。浪漫だよねぇ(恍惚
んで先ほどのトルエルの「クロ氏の取るべき最適解」は
空に向かって撃つ
だす。何となく分かってたと思うけど。
まず、グレー氏を狙い、1/3の的中率で仮に当たった場合、残る二人はクロ氏とシロ氏となり、次の順番で確実にシロ氏によってクロ氏は撃たれるよね。百発百中だし。
じゃシロ氏を狙ってみようか、と言って仮にシロ氏を倒せたとしても、残される相手は自分よりも的中率の高いグレー氏となる。
まぁシロ氏よりはマシだけどこれも危険だーよ。
クロ氏が敢えて空に撃つことで、グレー氏は百発百中の的中率を誇るシロ氏を倒す必要が出てくる。
なぜなら、シロ氏を生かしておくと、次の順番となるシロ氏は、的中率1/3のクロ氏よりも脅威となる的中率2/3のグレー氏を狙うはずだと予想するからだよね。
クロ氏が空に撃ったあとに誰からも狙われず、かつグレー氏かシロ氏のどちらかが確実に倒されている状態で自分の順番が回ってくるわけよ。
もちろんこれはクロ氏が「確実に生き残る」という方法ではない。ただ、同じ1/3の的中率で勝負をするなら、より可能性の高い選択をしろ、ということですね。
どうですか?ゲーム理論のさわりだけではありますけど面白いでしょ?
……面白いでしょっっ!?